高知県香南市野市町。国道沿いをバイクで走っていると、木の柱に船のロゴが目に入った。「VESSEL」。英語で船という意味らしい。なんとなく気になって、ハンドルを切った。それが、ヴェッセルとの出会いだった。

古民家をリノベーションした、吹き抜けの和モダン空間
駐車場に入った瞬間、まず気づくのが庭の手入れの良さだ。花が丁寧に植えられていて、信楽焼のたぬきがちょこちょこ並んでいる。そのたぬきたちが、なんとも言えない愛嬌で出迎えてくれる。
重厚な木の扉を開けると、視界が一気に抜ける。
天井が高い。太い梁が走っている。欄間の細工がそのまま残っている。もともとはお百姓さんの自宅だったという古民家を、内側から丁寧にリノベーションした空間だ。壁にはたくさんの絵画が飾られていて、どこか美術館のような落ち着きもある。
嫁氏が小声で言った。「……なんか、落ち着く。」それ、褒めちゅうよな。
座席はゆったり配置されていて、ランチタイムでも窮屈さがない。家族連れも多く、子ども用の椅子も用意されている。全席禁煙、Wi-Fi完備。ツーリングの休憩にも、地元の日常使いにも、どちらにも馴染む空間だった。

ヴェッセルのランチメニューと価格
ランチは11:00〜15:00(日替わりランチは14:00まで)。
・四万十ポークのカツカレー(サラダ付き)1280円 ・オムライス(サラダ付き)1000円 ・カレーライス(サラダ付き)1000円 ・日替わりランチ 1100円 ・生簀揚げ定食 1260円 ・グラタン 900円
ランチの追加オプションとして、ライス100円・みそ汁100円・サラダ150円も選べる。食後のドリンクはホットコーヒー・紅茶・アメリカンが300円、その他は350円。ノンアルコールワインやノンアルビールも揃っているので、嫁氏のような人にも安心だ(うちの嫁氏は飲まんけど)。

四万十ポークのカツカレー|カレーの概念が変わる一皿
僕が頼んだのはカツカレー。1280円。
運ばれてきた瞬間、カツのボリュームに目が行く。厚みがある。色がいい。注文を受けてから揚げているので、衣がサックサクの状態でテーブルに届く。
一口食べて、まず思ったのが「トマトの酸味だ」ということ。一般的なカレーのまろやかさとは少し違う。野菜の甘みが下にあって、香辛料の辛さがあとからついてくる。重さがなく、それでいてコクがある。スプーンが止まらない。
「……これ、カレー専門店やん?」
思わず口から出た。大げさじゃなく、本当にそう感じた。地元のカフェでこのレベルのカレーが食べられるとは思っていなかった。四万十ポークのカツも、脂身の甘みがカレーに溶け込んで、最後の一口まで飽きない。

ふわとろオムライス|自家栽培米が生きてる
嫁氏が頼んだのはオムライス。1000円。
「ちょっと食べてみる?」と珍しく差し出してきた。余ったから、と言っていたが、まあそういうことにしておく。
スプーンを入れると、卵がとろりと崩れる。チキンライスが出てくる。ひと口食べて、「……ふわっ、うまい」と声が出た。卵の甘みと、ケチャップの酸味のバランスが絶妙だ。米がしっかりしている。自家栽培のお米を使っているというのが、食べてわかる粒感と甘みだった。
嫁氏がカツカレーを一口もらって、こう言った。「……これ、コクすご。」
ツンデレにも伝わる味、ということだ。

家族三人で守る、古民家の味
ヴェッセルは2019年2月にオープンした家族経営のカフェだ。
お父さんが畑を担当している。毎朝、自家栽培の野菜やお米を厨房に届ける。息子さんが料理を担当する。船が好きで、その想いを店名に込めた。お母さんがフロアを担当する。その接客の温かさが、地元の「マダム御用達」と呼ばれるほどのリピーターを生んでいる。
素材を自分たちで育てて、自分たちで調理して、自分たちで提供する。その一本の線が、料理の味に出ている。外から買ってきた素材では出せない、育てた人間の顔が見える味だ。
アクセス・基本情報
店名: カフェ ヴェッセル(VESSEL)
住所: 高知県香南市野市町西野1065-1
電話: 0887-52-8711
営業時間: 8:00〜17:00(L.O. 16:30)
ランチ: 11:00〜15:00(日替わりは14:00まで)
定休日: 木曜日(年末年始12/30〜1/3休業)
駐車場: 約20台(無料)
その他: 全席禁煙・Wi-Fi完備・お子様椅子あり・PayPay対応

まとめ
香南市野市町の古民家カフェ ヴェッセル。バイクで流していて、ふと気になって立ち寄った店が、こんなに記憶に残るとは思っていなかった。
四万十ポークのカツカレーは、カレーに対する自分の基準を塗り替えた。オムライスは、素材の良さがそのまま味になっていた。空間は静かで、時間がゆっくり流れた。
急がんでもえい時間が、ここにある。
嫁氏が帰り際に言った。「……まあ、また来てもいいけど。」
それが、この店の答えだと思った。

高知県香南市野市町のカフェ・グルメ情報は、カフェ山(cafeyama.jp)で発信中。

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