【高知・日高村】山奥に現れる黄色い扉の正体——タルト専門店「タル店(たるてん)」

高知県日高村、大通りから外れた川沿いの細い道を進んでいくと、突然、場違いなほど鮮やかな黄色い扉が現れる。「本当にこんな場所に?」と思わずつぶやいてしまうような山あいの一角に、それはある。

ここが、高知県内でひそかに話題を集めるタルト専門店「タル店(たるてん)」だ。


目次

タル店とは?——月数日しか開かない、幻のタルト専門店

タル店は、高知県高岡郡日高村宮ノ谷にある完全予約・数量限定のタルト専門店。営業日は月に数日のみで、公式Instagramで告知される「タルトマークの日」にだけ扉が開く。

常設の飲食店ではなく、あくまでも「工房販売」のスタイル。それでも営業日には遠方からもファンが訪れ、人気商品はあっという間に売り切れになる。高知県内のイベントに出店すれば、開始直後から行列ができるほどの人気ぶりだ。


旧保育園をリノベーションした、ノスタルジックな空間

タル店の舞台となっているのは、かつて「旧能津保育園」として使われていた建物だ。

子供たちの声が響いていたであろう温かみある空間を、センスあふれる工房へと生まれ変わらせた。木の梁が残る高い天井、丸い白い照明、色とりどりの小物——かつての保育園の面影を残しながら、どこかファンタジーな空気が漂っている。

入口の黄色い扉をくぐった瞬間、別の世界に迷い込んだような感覚になる。それがタル店の最初の体験だ。


ショーケースに並ぶのは、高知の季節そのもの

店内のショーケースには、その季節に最も美味しい地元フルーツを使ったタルトが並ぶ。

訪れた日に並んでいたのはこちら。

  • いちごタルト(750円) 高知産いちごと自家製いちごジャム、純生クリームを合わせたシンプルで力強い一品
  • ブルーベリーとマスカルポーネのタルト(750円) ひらやま農園の大粒ブルーベリーと、自家製ブルーベリージャム、マスカルポーネ風味のクリームを合わせたタルト
  • コナツとチーズクリームのタルト(700円) 旬の小夏に涼やかなチーズクリームを合わせた、高知らしい爽やかな一品
  • バナナクリームパイ(700円) パイ生地にチョコレートメッシュ、アーモンドクリーム、キャラメリゼしたバナナを合わせたクリームパイ

タルトだけでなく、焼き菓子やスコーンも並んでおり、おみやげにもなる。

季節によってラインナップは変わる。春はいちご、初夏は小夏やブルーベリー、秋はモンブラン——高知の旬が、そのままタルトになって現れる。


実際に食べてみた

俺はいちごタルトを選んだ。嫁氏はブルーベリーとマスカルポーネ。

いちごタルトはタルト生地のサクサク感と、みずみずしいいちごの酸味、なめらかなクリームのバランスが絶妙だった。派手さはない。ただ、素材の良さがまっすぐ伝わってくる味だった。

嫁氏のブルーベリーも一口もらったが、マスカルポーネクリームの濃厚さと大粒ブルーベリーの甘酸っぱさが見事に合っていた。気づいたら無言になっていた。


店主のこだわり——移動販売時代から変わらない、手仕事の丁寧さ

タル店はもともと、店舗を持たない移動販売のタルト屋として活動していた。当時から徹底して手作りにこだわり、その丁寧な仕事ぶりが口コミで広がって現在の人気店へとつながっている。

地産地消へのこだわりも強く、日高村周辺で採れる新鮮なフルーツを主役に据えている。日高村はシュガートマトで知られる農業地帯。その土地の恵みをタルトに閉じ込めるスタイルが、タル店の核心にある。


タル店は、ただのスイーツ店じゃない

タル店は不定期にアートや音楽のイベントも開催している。イギリス在住の音楽家ICHIさんを招いたイベントでは、数ヶ月かけて制作された「壁面楽器」が設置され、子供から大人まで音を鳴らして楽しめる空間になったという。

お正月には「あけましたるてん」と題したマルシェを主催し、カレー作りのワークショップや書き初めブース、他店のうどんやコーヒーが集まる賑やかなイベントを開いた実績もある。

タルトを買いに来るだけでなく、この場所自体が目的地になっている——そんな稀有な店だ。


アクセスと営業情報

📍 タル店(たるてん) 高知県高岡郡日高村宮ノ谷668(旧能津保育園)

営業日: 月数日のみ(公式Instagram「タルトマークの日」を要確認) 決済: PayPay・楽天ペイ対応 予約: 公式Instagramの案内に沿って事前予約推奨

⚠️ 営業スケジュールはすべて公式Instagramでのみ発信されます。訪れる前に必ず確認してください。


ツーリングで立ち寄るなら

日高村は仁淀川沿いのツーリングルートに近く、バイクで訪れやすい立地にある。仁淀ブルーを楽しんだあと、山あいの細道を抜けてタル店へ——そんなルートが、カフェ山的には最高だと思う。

月数日しか開かないからこそ、来れた日が特別になる。

黄色い扉の向こうには、高知の季節が待っている。


これがカフェ山の、ツーリング飯。

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