高知県吾川郡いの町にある「おむすび すし 米太郎 伊野店」をご存知でしょうか。とさでん交通の伊野駅からすぐそばに構えるこの小さなお店、外から覗くと手書きの値札が並ぶガラスケースに、おにぎりや惣菜がずらりと並んでいます。派手な看板も、インスタ映えするような内装もない。でも、一度立ち寄ったら忘れられない——そんな力を持ったお店です。
今回は高知ツーリングの途中、嫁氏が「腹減った」とうるさいので立ち寄ったのですが、食べた瞬間に「懐かしい」という言葉しか出てきませんでした。値段も安い、味もいい、なんか優しい時間が流れてる。そんな米太郎伊野店の魅力を、たっぷりお伝えします。
創業約50年|高知チェーンの生き残りが守り続ける味
米太郎はかつて高知県内に数十店舗を展開していたおむすびチェーンです。しかし約20年前に本部が廃業し、多くの店舗が次々と閉店していきました。そのなかで伊野店は閉めることなく営業を続け、2022年時点で創業46年、現在は創業約50年という歴史を積み重ねています。
現在、高知県内でこの「米太郎」の屋号を残しているのは伊野店と南国店のわずか2店舗のみ。チェーンの名残をとどめる、非常に貴重な存在です。
店を切り盛りするのは矢野靖士さん(70代後半)と美恵子さん(80代)のご夫婦。年齢を感じさせない手さばきで、注文が入るたびに黙々とおにぎりを握り続ける姿に、思わず見入ってしまいます。「本部がなくなっても、お客さんがいる限りは続けていきたい」——そんな気概が、この町の日常の風景として今も息づいています。

ショーケースに並ぶメニューと価格
店頭のガラスケースには、手書きの値札とともにさまざまな商品が並んでいます。おにぎり・弁当・お寿司・揚げ物——どれもリーズナブルで、財布に優しい価格設定がたまりません。
おにぎり(各130円)の具材は、さけ・うめ・しんこ・おかか・たらこ・こんぶ・みそなど豊富に揃っています。シーチキンは10円増しの140円。どれも注文を受けてから握るスタイルで、海苔はパリッ、ご飯はほかほかの状態で手渡してもらえます。
弁当類はコロコロむすび(詰め合わせ)が450円、やきめしが400円、のり弁当が500円、お弁当が580円。お惣菜の唐揚げや玉子焼きは300〜350円前後と、どれも驚くほど手頃な価格です。
物価上昇が続く現代において、おにぎり1個130円という価格設定は本当に驚異的です。しかもコンビニのような大量製造品ではなく、注文後に一つひとつ手で握ったもの。このコストパフォーマンスは、なかなか他では出せません。

実食レポ|コロコロむすびと唐揚げセット
今回購入したのはコロコロむすび(450円)と唐揚げ・玉子焼きのセットです。
コロコロむすびは、さまざまな具材のおにぎりがぎっしり詰まったアソートパック。鮭そぼろ、たらこ、唐揚げ入りのものまで、一度でいろんな味が楽しめます。のりはパリッとした食感で、ご飯の温もりがほんのり伝わってくる。コンビニのラップされたおにぎりとは明らかに違う、人の手の温かさを感じる一品でした。
唐揚げは外がサクッ、中はジューシー。変な調味料の主張がなく、鶏のうまみをストレートに感じられる素朴な味わいです。地元では「コンビニには出せない美味しさ」と評判で、おにぎり以上にファンが多いという話も納得できます。玉子焼きはふんわりとした食感でほんのり甘め。こういう「ふつうのおかず」がちゃんと美味しい——それが手作り惣菜の強さだと改めて感じました。

この店がリピーターを惹きつける3つの理由
①注文してから握る、当たり前のすごさ
現代のコンビニや量販弁当店では、おにぎりは事前に大量製造されるのが当たり前。でも米太郎は注文を受けてから握る。これが「ふつう」だった時代のやり方を、今も変えずに守り続けています。その結果として生まれる出来立ての美味しさは、どんな技術でも代替できません。
②50年変わらない、価格の誠実さ
創業から約50年、おにぎり1個130円という価格を守り続けているのは、簡単なことではありません。材料費も人件費も上がり続けるなかで、この価格を維持するのは相当な努力と覚悟が必要なはず。「安くて美味しいものをみんなに届けたい」という昭和の商いの精神が、価格そのものに表れています。

③町のインフラとしての温かさ
ガラスケースに並んだ手書きの値札、ショーケースの向こうで黙々と働くご夫婦の姿、昼時には地元の常連さんが続々と立ち寄る光景。米太郎はただの飲食店ではなく、いの町という町のインフラのような存在です。旅人にとっては、どこか遠くのふるさとのような安らぎを感じさせてくれる場所でもあります。
高知ツーリングの立ち寄りスポットとして最高
とさでん交通の伊野駅から徒歩すぐという立地も魅力です。国道を走っていの町に差し掛かったら、ぜひ一度足を止めてみてください。朝7時からオープンしているので、ツーリングの朝飯としても最適です。ただし支払いは現金のみなので、あらかじめ小銭を用意しておくのをお忘れなく。
定休日は月曜日。平日の昼時は地元の常連さんで賑わうため、早めの時間に立ち寄るのがおすすめです。
店舗情報
住所:高知県吾川郡いの町1704 アクセス:とさでん交通「伊野駅」から徒歩すぐ 営業時間:7:00〜17:00 定休日:月曜日 支払い:現金のみ
まとめ|派手じゃないけど、忘れられない
おむすび すし 米太郎 伊野店は、懐かしくて安くて美味しいという三拍子が揃った、いの町が誇るべき名店です。チェーン本部の廃業を乗り越え、約50年守り続けてきたご夫婦の背中が語るものは大きい。おにぎり1個130円という変わらない価格と、変わらない手握りの温もりは、訪れるたびに「また来てよかった」と思わせてくれます。
派手じゃないけど、忘れられない。高知・いの町に来たら、ぜひ米太郎に立ち寄ってみてください。

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