高知県高知市大津。
食品団地の一角に、以前から気になっていたお店がある。
その名も、
「おとうふ肉吸い たかはし」
名前の通り「肉吸い」の専門店なのだが、実際に食べてみると、この店の主役は肉だけではなかった。
むしろ僕が一番驚いたのは、
豆腐だった。
しかも今回、生まれて初めて豆腐を「塩」で食べてみた。
これが想像以上に美味しい。
肉吸いを食べに来たはずなのに、帰る頃には豆腐の印象が頭に残っていた。
今回は、そんな「おとうふ肉吸い たかはし」を紹介したい。
高知市大津「おとうふ肉吸い たかはし」
おとうふ肉吸い たかはしがあるのは、高知市大津乙。
周辺には工場や事業所が並び、いわゆる観光地の飲食店とは少し違った雰囲気がある。
そして、この立地にはちゃんと理由がある。
お店を運営しているのが、老舗の豆腐製造会社**「高橋豆富」**だからだ。
店舗は豆腐工場のすぐ隣。
つまりここは、豆腐屋さんが自分たちの豆腐を主役にして作った肉吸い専門店なのだ。
店の上には、
「自慢の豆富入れ放題」
の大きな看板。
初めて見ると、なかなかのインパクトがある。
「肉吸いの店なのに、豆腐入れ放題?」
入る前から気になってしまう。

そもそも「肉吸い」とは?
肉吸いは、大阪で生まれた料理として知られている。
簡単にいえば、
「肉うどんから、うどんを抜いたもの」
という少し不思議な料理だ。
大阪・難波の「千とせ」で、吉本新喜劇で活躍した花紀京さんが肉うどんを「うどん抜き」で注文したことが始まりとされている。
最初は一人のお客さんの注文だったものが、やがて大阪を代表する名物料理のひとつになった。
料理の歴史というのは面白い。
最初から名物を作ろうとして生まれたものばかりではない。
何気ない一言や偶然から生まれた料理が、何十年も残ることがある。
そして、その大阪生まれの肉吸いが高知へやってきた。
ただし「たかはし」の肉吸いは、少し違う。

肉吸いなのに「豆腐が主役」
食券を購入して注文。
今回いただいたのは、名物の肉吸い850円。
運ばれてきた丼を見ると、牛肉、ネギ、そして大きな豆腐。
透き通った出汁から顔を出す豆腐の存在感がすごい。
出汁はカツオと昆布を使った和風の味わい。
そこへ牛肉の旨みが加わる。
まず出汁を飲んでみる。
優しい。
でも物足りないわけではない。
牛肉から出た旨みが加わり、じんわりと後を引く。
そして豆腐。
肉吸いの中に入っていても、完全に脇役ではない。
しっかり豆腐を「食べている」と感じられる。
考えてみれば当然かもしれない。
ここは肉料理店が豆腐を入れたのではなく、
豆腐屋さんが作った肉吸いなのだ。
出発点が違う。

出来立て豆腐がおかわり自由
そして、この店でもう一つ驚いたのが豆腐のおかわり。
店内には豆腐が用意されていて、好きなだけ楽しめる。
さらにネギなどの薬味もあり、自分好みに追加できる。
看板に書かれていた、
「自慢の豆富入れ放題」
は本当だった。
肉吸いの中に追加してもいいし、そのまま食べてもいい。
せっかく豆腐屋さんに来たのだから、まず豆腐そのものを味わってみたくなる。
そこで、僕にとって今回一番の発見があった。

人生初。「豆腐に塩」をやってみた
普段、豆腐を食べるなら醤油。
少なくとも僕の中では、それが当たり前だった。
ところがここでは、豆腐を塩で食べる方法がある。
正直、
「豆腐に塩?」
と思った。
今までやったことがない。
そこで出来立ての豆腐に、ほんの少し塩を振って食べてみる。
……これが、めちゃめちゃ美味い。
醤油をかけた時とは方向が違う。
塩味を強くするためではなく、豆腐そのものが持っている大豆の甘みを引き立ててくれる感じだ。
余計な味を足すというより、
「もともと豆腐の中にあった味を見つける」
という感覚に近い。
これはちょっとした発見だった。
何十年も豆腐を食べてきたのに、食べ方ひとつでまだ知らない味がある。
こういう瞬間があるから、食べ歩きは面白い。

肉と豆腐を一緒に食べるとさらに旨い
もちろん肉吸いなので、牛肉も欠かせない。
レンゲに豆腐をのせ、そこへ牛肉。
出汁も一緒にすくって口へ運ぶ。
牛肉の旨み、和風出汁、豆腐の柔らかな甘み。
それぞれ単体でも美味しいのだが、一緒になるとバランスがいい。
肉の脂を豆腐が受け止めてくれるので、見た目よりも重たく感じない。
嫁氏もかなり気に入った様子。
夫婦そろって大満足だった。

「肉吸い八箇条」も面白い
店内を見渡すと「肉吸いとうふ たかはし 八箇条」なるものも掲げられていた。
「天然だしの香りと味を楽しむべし」
「工場直送の豆腐を堪能すべし」
「肉の旨味を噛みしめるべし」
など、この店らしい言葉が並んでいる。
中でも面白いのが、
「SNSで積極的な情報発信を」
という一文。
……これは守らねばなるまい(笑)。
こうしてブログまで書いているので、八箇条のひとつはかなり忠実に実行していることになる。

大阪の肉吸いが、高知で「豆腐を楽しむ料理」へ
今回食べていて面白いと思ったのが、料理が土地や作り手によって変化していくことだった。
大阪で「肉うどんのうどん抜き」から生まれたとされる肉吸い。
それが高知へやってきて、老舗豆腐屋さんの手にかかる。
すると、
「豆腐を美味しく食べるための肉吸い」
とも感じられる一杯になっている。
料理はレシピだけでできているわけではない。
作る人、土地、素材、そして歴史。
それらが重なることで、その店にしかない味になっていく。
大阪で生まれた肉吸いが、高知の豆腐屋さんにたどり着いた。
そう考えると、
料理にも、旅があるのかもしれない。

おとうふ肉吸い たかはし 店舗情報
店名: おとうふ肉吸い たかはし
住所: 高知県高知市大津乙1738-6
ジャンル: 肉吸い・豆腐料理
営業時間: 11:00〜14:00
定休日: 水曜日
予算: 1,000円前後
名物: 肉吸い、豆腐
特徴: 豆腐工場隣接、豆腐おかわり自由
営業時間や定休日、価格などは変更される場合があるため、訪問前に最新情報を確認することをおすすめする。
まとめ|肉吸いを食べに行ったら、豆腐の旨さを教えられた
今回の「おとうふ肉吸い たかはし」。
もちろん肉吸いそのものも美味しかった。
でも、一番記憶に残ったのは豆腐だった。
工場のすぐ隣だからこそ味わえる豆腐。
肉と出汁をまとった豆腐。
そして、生まれて初めて食べた塩で味わう豆腐。
いつも食べている身近な食材なのに、まだ知らない食べ方があった。
遠くまで旅をしなくても、知らない味には出会える。
肉吸いを食べに来たはずなのに、帰る頃には豆腐のことばかり考えていた。
そんな一軒だった。
高知市でランチを探している人、豆腐好きの人、そしてちょっと変わった高知グルメを食べてみたい人には、ぜひ候補に入れてほしい。
小さな幸せ、見つけました。
また、まっちゅうきね。


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