高知県南国市にある「海洋堂SpaceFactoryなんこく」。宇宙船を思わせる白い建物を見て、最初はフィギュアのショップなのかなと思った。ところが中へ入ると、買い物だけで終わらない、ものづくりの世界が待っていた。
今回、特に心をつかまれたのは、入口で出迎えてくれる巨大な「生命の塔」だ。目の前に現れたサメの迫力。そして、見上げるほどの高さに重なり合う生き物たち。小さなフィギュアをつくる海洋堂が、これほど大きな作品をつくるとどうなるのか。その答えが、目の前にそびえていた。
高さ4メートル超の「生命の塔」へ
生命の塔は、台座を含めて高さ4メートルを超える大型フィギュアモニュメント。手がけたのは、海洋堂で生物造形を数多く担当してきた松村しのぶさんだ。恐竜、鳥、魚、爬虫類など、さまざまな生き物が一つの塔を形づくっている。
まず目を引くのは、こちらに迫ってくるようなサメの口元。けれど、そこだけを見て通り過ぎるのはもったいない。少し横へ移動し、下から上へ視線を動かすと、別の動物が姿を現す。正面からは見えなかった輪郭や表情にも気づく。どこに何がいるのか、つい探したくなる作品だった。
フィギュアは手のひらに収まるもの、という先入観があった。生命の塔の前では、そんなサイズの感覚が一度崩れる。それでも、細部へ近づくと海洋堂らしい緻密さがある。巨大な作品なのに、一体ずつの生き物を見たくなる。その両方を楽しめるところが面白い。
館内で職員さんからは、この塔が海外でも展示されたという話を聞いた。展示先の詳しい名称まではここでは記さないが、南国市で目の前にしている作品が海を越えて紹介されたと聞くと、もう一度じっくり見上げたくなった。

完成品の奥にある、職人の手仕事
生命の塔を堪能したら、1階の工場見学通路にも進みたい。ここでは、海洋堂のソフビフィギュアがつくられる現場を、見学通路から見ることができる。完成したフィギュアが並ぶ売り場とは違い、形や色が作品になっていく途中に出会える場所だ。
小さなフィギュアは、気軽に手に取れる。その分、完成するまでに人の手がどれほど関わっているかを忘れがちかもしれない。作業の様子を見ると、わずかな部分にも気を配る職人の仕事に目が向く。さっきまで生命の塔を「大きくてすごい」と見上げていたのに、今度は小さな作品の細部が気になってくる。
見学通路には、作業する手元を映すカメラやモニターも用意されている。どんなふうにつくられているのだろう、という疑問を持ったまま見ると、ひとつひとつの工程がいっそう興味深い。製品の裏側にある人の技術を感じられるのが、ここを訪れる大きな魅力だ。

展示、ショップ、ものづくり体験も
海洋堂SpaceFactoryなんこくの楽しみは、生命の塔と工場見学だけではない。館内にはフィギュアやものづくりに関する展示があり、2階にはミュージアムショップと体験工房がある。気になった作品を眺めたり、お土産を探したりできるのもうれしい。
自分でも手を動かしたい人には、フィギュアの色塗りやジオラマ作りといった有料の体験がある。完成品を見る、製作現場を見る、そして自分でつくってみる。同じ「フィギュア」でも、立場を変えると面白さが変わる。親子で訪れる人はもちろん、ものづくりが好きな大人にも時間を取って回ってほしい。
南国市は、土佐打刃物をはじめ、さまざまな製造業が根づくまちでもある。この施設が単なる展示場所にとどまらず、「つくること」に関心を向ける拠点になっているのも、南国市らしいと感じた。

入館料・アクセス・訪問前の注意点
所在地は高知県南国市大そね甲1623-3。JR後免駅から徒歩約10分で、車なら高知龍馬空港から約5分。駐車場もある。開館時間は10時から18時までで、最終入館は17時30分。休館日は原則火曜日で、祝日や大型連休には扱いが変わる場合がある。
ここで注意したいのが料金だ。建物への入館は無料だが、生命の塔を間近で見る1階工場見学通路など、一部エリアは有料。2026年のリニューアル後、1階工場見学通路は大人700円、小・中学生300円、未就学児は無料となっている。ものづくり体験や一部の企画展にも別途料金がかかる。料金や催しの内容は訪問前に公式サイトで確認しておくと安心だ。

生命の塔は、見るたびに発見がある
入口では、まずサメの迫力に足が止まった。近づくと、ほかの生き物を探し始める。工場を見たあとで振り返ると、今度は一つひとつの造形に込められた手仕事が気になった。同じ塔なのに、館内を回る前と後で見え方が変わったのだ。
南国市の海洋堂SpaceFactoryなんこくは、フィギュアを「見る」だけでなく、「どう生まれるのか」まで楽しめる場所。生命の塔の前で立ち止まり、お気に入りの一体を探してみてほしい。きっと、最初に見上げたときとは違う発見がある。
施設情報:海洋堂SpaceFactoryなんこく/高知県南国市大そね甲1623-3/10:00~18:00(最終入館17:30)/原則火曜休館。入館無料、一部エリア・体験は有料。最新情報は公式サイトをご確認ください。



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