高知・横倉山「安徳水」へ|安徳天皇伝説の名水を汲んでコーヒーを淹れてみた

高知県には、山奥にひっそりと残る名水がいくつもあります。

今回訪れたのは、高知県高岡郡越知町の横倉山にある**「安徳水(あんとくすい)」**。

ここには、なんとも壮大な伝説が残っています。

安徳天皇が飲んだと伝わる水が、今も高知の山奥に湧いている。

しかも安徳水は、環境庁(現・環境省)が昭和60年(1985年)に選定した「名水百選」のひとつ。

そんな歴史ある水を実際に汲みに行き、持ち帰ってコーヒーを淹れてみました。

果たして、水が変わるとコーヒーの味も変わるのでしょうか。

今回は横倉山への道のりから安徳水の歴史、現地の様子、そして実際にコーヒーを淹れて飲んでみた感想まで紹介します。

目次

高知県越知町・横倉山にある「安徳水」

安徳水があるのは、高知県高岡郡越知町の横倉山。

横倉山は豊かな自然だけでなく、植物学者・牧野富太郎博士の研究の山として知られ、日本最古級の化石や貴重な植物などでも知られる場所です。

そして、もうひとつ横倉山を語るうえで欠かせないのが安徳天皇にまつわる伝説です。

今回の目的地「安徳水」も、その伝説と深く結びついています。

山の中へ進んでいくと、周囲は次第に深い森へ。

バイクで走っているだけでも、街中とは空気がまるで違います。

道路沿いには大きな岩肌が現れ、杉などの木々に囲まれた道が続きます。

そんな横倉山の森を進んだ先に、安徳水があります。

安徳天皇が飲んだと伝わる水

安徳水という名前の由来には、平家と安徳天皇にまつわる伝説があります。

文治元年(1185年)。

源平合戦の時代、屋島の戦いに敗れた平知盛一門が、幼い安徳天皇を奉じて四国山中を潜幸し、横倉山へたどり着いたという伝説が残されています。

その際、この地に住居を構え、安徳天皇の飲料水として使ったと伝えられているのが安徳水です。

一般に知られている歴史とは異なる「安徳天皇潜幸伝説」。

横倉山には、その物語を今に伝える史跡や伝承が残されています。

単なる「山のおいしい水」ではなく、800年以上前の物語と結びついている。

安徳水の面白さは、まさにそこにあります。

修験者の「清めの水」だったという伝承も

安徳水の歴史は、安徳天皇伝説だけではありません。

伝承では、それより約200年前、横倉山が霊峰として開山された頃から、土佐の修験道場で修行する修験者たちの清めの水として使用されていたともいわれています。

安徳天皇の御用水として伝えられるよりも、さらに古い時代から人々に大切にされてきた水ということになります。

実際に深い森の中を歩いていると、横倉山が長い間、特別な場所として扱われてきたことも少し分かるような気がします。

安徳水は「名水百選」に選定

安徳水は昭和60年(1985年)、環境庁(現・環境省)の**「名水百選」**に選定されました。

名水百選は、全国の清澄な水や優れた水環境を再発見し、その保全につなげることなどを目的として全国100か所が選定されたものです。

高知県では安徳水のほか、四万十川も昭和の名水百選に選ばれています。

800年以上前の伝説が残る水が、現代では大切な水環境として評価されている。

歴史と自然が一本の水でつながっているようで面白いですね。

現在の安徳水は整備された水汲み場

現地へ行ってみると、現在の安徳水は水汲み場としてきれいに整備されています。

石を積んだ水場に蛇口が設けられていて、そこから水を汲むことができます。

今回は2Lのペットボトルを持参。

横倉山まで来たからには、もちろん汲んで帰ります。

蛇口から流れる安徳水をボトルいっぱいに。

深い森の中で、安徳天皇や修験者たちの伝説に思いを馳せながら水を汲む。

スーパーでペットボトルの水を買うのとは、まったく違う時間です。

そして僕の場合、名水を汲んだらやってみたいことがあります。

コーヒーです。

注意|安徳水は生水のまま飲まない

ここは非常に重要です。

「名水百選」と聞くと、その場ですぐ飲める水というイメージを持つかもしれません。

しかし、名水百選は飲用に適していることを保証する制度ではありません。

環境省の安徳水の紹介ページでも、生水のため直接の飲料水としては適しておらず、煮沸なしでの飲用はおすすめできないと案内されています。

名水百選だから、そのまま飲んでも大丈夫。

そういう意味ではありません。

今回は持ち帰った安徳水をしっかり加熱したうえでコーヒーに使用しました。

実際に飲用する場合は、現地の案内や自治体などの最新情報を確認してください。

安徳水でコーヒーを淹れてみる

さて、ここからが「カフェ山」の時間です。

横倉山から持ち帰った安徳水を加熱。

今回使用する豆は、**ハルノコーヒーで購入した「ブラジル・プレミアムショコラ」**です。

名水シリーズでは、水による違いをできるだけ感じられるよう、同じ豆を使っています。

豆まで毎回変えてしまうと、味が変化した原因が豆なのか水なのか分かりにくくなります。

だから、豆はいつものもの。

変えるのは水。

ちょっとした実験です。

いつものようにドリッパーへコーヒー粉をセット。

安徳水でゆっくりと抽出していきます。

そしてカフェ山のマグカップへ。

完成。

さて、安徳天皇が飲んだと伝わる水で淹れたコーヒー。

どんな味なのでしょうか。

実際に飲んでみた|苦味が少なく、しっかりとした味わい

一口飲んでみます。

まず感じたのは、香りがちゃんと出ていること。

そして苦味はほとんど感じませんでした。

その代わりに、少し酸味を感じます。

全体として僕が感じたのは、

「まろやか」というより、しっかり味わいがある。

そんな印象でした。

もちろんコーヒーの味覚は個人差がありますし、抽出条件によっても変化します。

ここで書いているのは、あくまで僕が実際に飲んで感じた印象です。

それでも、いつも使っている同じ豆だからこそ「いつもと少し違う」という変化が分かるのが面白いところ。

水はコーヒーの大部分を占めるもの。

水を変えて飲み比べてみると、普段あまり意識していなかった「水」という材料の存在が急に大きく感じられます。

梶ヶ森の霊水とは明らかに違う

以前、同じブラジル・プレミアムショコラを梶ヶ森の霊水で淹れたことがあります。

その時に感じたのは、

スッと体に入っていくような、優しい甘み。

とても柔らかい印象でした。

一方、今回の安徳水は少し違います。

苦味は少ない。

少し酸味がある。

香りも感じる。

そして、梶ヶ森ほど「優しい」という感じではなく、もう少し存在感のある味わい。

どちらが上という話ではありません。

水によってコーヒーの表情が変わる。

そこが面白い。

同じ高知県の山から湧く水でも、実際に同じ豆で淹れてみると印象が違いました。

「名水×コーヒー」をシリーズとして続けてみたい

最初は単純に、

「せっかく名水を汲んできたんだから、コーヒーを淹れてみよう」

というところから始まりました。

ところが何か所か試してみると、水によってコーヒーの印象が違うことが面白くなってきました。

そこで今後も、

同じコーヒー豆を使い、水だけを変えて飲み比べる。

このスタイルで高知の名水を巡ってみようと思います。

高知には、まだまだ気になる水があります。

山へ行き、自分で水を汲み、その水を持ち帰って一杯のコーヒーを淹れる。

目的地そのものだけでなく、そこへ向かう道や歴史、周囲の自然まで全部含めて一杯になる。

これはなかなか面白い遊びです。

安徳水へのアクセス

安徳水は、高知県高岡郡越知町の横倉山にあります。

環境省の案内では、高知市内から国道33号を松山方面へ進み、越知町まで車で約60分。

越知町内から横倉山第3駐車場まで約15分、第3駐車場から安徳水までは遊歩道を徒歩約10分と案内されています。

山間部なので、天候や道路状況、季節によって条件が変わる可能性があります。

訪問前には最新の道路状況や横倉山の情報を確認し、歩きやすい靴など山歩きに適した準備をおすすめします。

また、自然の中にある場所です。

水場や周辺環境を汚さず、持ち込んだものは持ち帰るなど、大切な場所を次の世代へ残す意識も忘れたくありません。

まとめ|800年以上の伝説を、一杯のコーヒーへ

高知県越知町、横倉山の「安徳水」。

安徳天皇の飲料水として使われたという伝説。

それ以前には、修験者たちが清めの水として使用したという伝承。

そして昭和60年には名水百選に選定されました。

そんな水を横倉山まで汲みに行き、自宅へ持ち帰ってコーヒーを淹れてみました。

今回感じたのは、香りがあり、苦味は少なく、少し酸味のある、しっかりとした味わい。

梶ヶ森の霊水で感じた優しい甘みとは、また違った一杯になりました。

同じ豆なのに、水を変えると表情が変わる。

名水で淹れるコーヒー。

これは、まだまだ続けてみたくなりました。

次はどこの水を汲みに行こうか。

こちらカフェ山。

また、まっちゅうきね!

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