高知県には、山々が育んだ美しい水が数多くあります。
今回訪れたのは、高知県高岡郡中土佐町の大野見久万秋にある**「久万秋(くまあき)の湧水」**。
山あいの道路を走っていると現れる、小さな水汲み場です。
派手な観光施設があるわけではありません。
しかし、そこでは岩の間から湧き出した水が、驚くほどの勢いで流れ続けていました。
そして今回の目的は、水を飲むだけではありません。
この湧水を持ち帰って、コーヒーを淹れてみる。
これまで名水でコーヒーを淹れてきましたが、久万秋の水はどんな一杯を作ってくれるのでしょうか。
久万秋の湧水とは?
久万秋の湧水があるのは、高知県中土佐町の大野見地域。
海沿いの久礼とは雰囲気が大きく変わり、山と川に囲まれた自然豊かな地域です。
水汲み場は道路沿いにあり、岩肌と緑に囲まれた場所から水が流れています。
実際に訪れてまず驚いたのが、その水量。
チョロチョロと染み出しているような湧水を想像していましたが、ここはまるで小さな滝。
竹筒から透明な水が勢いよく流れ落ちています。
こういう場所を見つけると、
「この水はいったい、どこからやって来たんだろう?」
と考えてしまいます。

岩の間から現れる久万秋の水
山に降った雨は地面へ染み込み、地下へ向かいます。
そして久万秋では、岩の間から水が再び地上へ現れます。
久万秋の湧水については、硬い砂岩の割れ目から湧き出す水とも紹介されています。
山に降った雨が地下へ入り、岩の中を通り、そして目の前で再び地上へ。
そう考えると、ただの「水」だったものが、急に面白く見えてきます。
この水が地下でどれほどの時間を過ごしたのかは分かりません。
数日なのか。
数か月なのか。
もっと長いのか。
けれど、この透明な一滴にも**「山の中を旅してきた時間」がある。**
そう考えながら飲む湧水は、ペットボトルの水とは少し違ったものに感じられました。

その場で飲んでみると、とにかくまろやか
まずは手ですくって、そのまま味を確かめてみました。
冷たい。
そして、まろやか。
強いクセを感じる水ではありません。
むしろ口当たりが優しく、スッと飲めてしまいます。
「これはコーヒーに合いそうだ」
飲んだ瞬間、今回の実験への期待が一気に高まりました。
もちろん自然の湧水は、水質が常に一定とは限りません。飲用する場合は現地の案内や最新情報を確認し、必要に応じて煮沸などの対応をした方が安心です。

久万秋の湧水を持ち帰ってコーヒーを淹れる
水を汲んで帰宅。
ここからが「カフェ山の名水コーヒー」の時間です。
特別なことはしません。
いつものコーヒー豆。
いつものドリッパー。
いつもの淹れ方。
変えるのは、水だけ。
これが面白いんです。
約300gのお湯を使い、ゆっくりとハンドドリップしていきます。
コーヒーの粉が膨らみ、香りが立ち上がってくる。
山の岩間から湧き出していた水が、数時間後には自宅でコーヒーになっている。
なんだか不思議です。
そして、いよいよ一口。

久万秋の湧水で淹れたコーヒーの味は?
飲んで最初に感じたのは、
「優しい。」
でした。
ガツンと何かの味が強くなったというより、全体的に角が取れたような印象。
そして、
スッと身体に入っていく。
そんな感覚があります。
以前、梶ヶ森の霊水でコーヒーを淹れたときにも感じた、あの優しさに少し似ています。
水が強く主張するのではなく、コーヒーそのものを邪魔しない。
だから豆の香りや味わいを自然に楽しめる。
そんな一杯になりました。

名水はコーヒーに「味を足す」ものではないのかもしれない
名水でコーヒーを淹れる企画を続けていると、少しずつ面白いことに気づきます。
最初は、
「名水を使ったら、ものすごく美味しくなるのでは?」
と思っていました。
しかし実際に何種類かの水を試してみると、もっと繊細です。
水によって苦味や酸味の感じ方が変わったり、口当たりが変化したりする。
今回の久万秋の湧水で特に印象に残ったのは、まろやかさと飲みやすさでした。
名水はコーヒーに何か特別な味を加えるというより、
豆が本来持っているものを邪魔しない。
そんな役割なのかもしれません。
もちろんこれは専門的な水質分析ではなく、実際に飲み比べた個人的な感想です。
だからこそ面白い。
水を変えて、同じコーヒーを淹れてみる。
それだけで普段何気なく飲んでいる一杯に、新しい発見があります。

久万秋の湧水は「水を汲む」こと自体が旅になる
久万秋の湧水の魅力は、美味しい水だけではありません。
海沿いの中土佐町から山へ入り、大野見の景色を眺めながら走っていく。
そして山あいでバイクを停め、水の音を聞く。
手ですくって飲んでみる。
お気に入りの容器に水を汲んで持ち帰る。
その水でコーヒーを淹れる。
つまり、コーヒーを飲むところまで全部が旅になるんです。
カフェで美味しいコーヒーを飲むのもいい。
自宅でお気に入りの豆を淹れるのもいい。
でも、
「コーヒーを淹れる水を探しに山へ行く」
という遊び方も、なかなか面白い。
バイクとの相性も抜群です。

高知には、まだ知らない「うまい水」がある
今回の久万秋の湧水も、訪れてみなければ分からない場所でした。
勢いよく流れる水。
岩と苔。
山の空気。
そして、持ち帰った水で淹れた優しいコーヒー。
有名観光地を巡る旅とは少し違います。
でも、こういう小さな場所に出会ったとき、
「高知って、まだまだ面白いな」
と思います。
山に降った雨が地中へ染み込み、岩の中を通り、再び地上へ。
その水を汲んで持ち帰り、一杯のコーヒーにする。
そして、その水は今度は自分の身体へ入っていく。
山を旅してきた水を飲む。
そう考えると、いつものコーヒーが少しだけ特別なものに見えてきます。
久万秋の湧水。
またひとつ、高知でお気に入りの水を見つけました。
高知の名水探しは、まだ続きそうです。
また、まっちゅうきね。


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